料理は化学 調味料の入れ方にも化学的根拠があります
昔おばあちゃんが家庭料理を作る時、「調味料は、さ・し・す・せ・そ の順番で入れるのよ」と娘さんやお嫁さんに話していました。
時代の流れと共に、料理は母親から習うものではなくネットから流入してくるものへ、最近では動画サイトを見て学ぶ人が多くなりました。
「学ぶ」気持ちがあるだけいいのかもしれませんが、無人サイトには言葉のキャッチボールがなく素朴な「なぜ?」はおきざりにされたまま。質問できる人が身近にいて自分の言葉で話してもれえるとすぐに納得できて楽しい時間を過ごせる・・・これが料理を覚えるもう一つの楽しみ方だと思います。
【さ・し・す・せ・そ】の順番
【さ・し・す・せ・そ】
特に、煮物など時間をかけて食材に味を含ませる工程を行う時、日本料理では出汁・みりん・砂糖・醤油(薄口・濃口)などを用いて味付けをします。また、酢や味噌を加えて調理する事もあります。
【さ】 砂糖 【し】 塩 【す】 酢・酸 【せ】 醤油 【そ】 味噌
の順が、美味しく味付けを生かす順番です。
1.個々の分子の大きさ
調味料で砂糖をはじめに入れるのは、「分子が大きいから」です。細かい話は非常にややこしいのでここでは省きますが、簡単に大きさを比較するなら砂糖は塩の6倍程度の大きさ(身近なたとえだと塩が砂なら、砂糖は石)です。
大きな石をごろごろバケツに入れた後、粒子の小さい砂を入れると隙間にまんべんなく砂がいきわたりますが、先に砂を入れてから石を入れるとバケツにきっちり収まっていた石はバケツからはみ出してしまします。
この現象を食材に当てはめて考えると、塩の分子(砂のように微細粒子)が先に食材の隅々に入り込み後から来る砂糖が入る隙間が無くなってしまうから、味がしみ込みにくくなるのです。
ですから、調味料はまず 「砂糖」を加えある程度食材に浸透させた後に「塩」を加えるのです。
「塩は味がしみ込みやすい」のも、この粒子の大きさによるものです。
2.浸透圧の関係
同じ溶液で濃度を変えると細胞膜を自由に水が行き来できる。この時間にある細胞膜の性質を半透性があると言います。そしてその半透性のある幕を半透膜と呼び半透膜に係る水分移動に係る圧力を浸透圧と言います。
1、で説明した「分子の大きさ」が浸透圧にも関係し、同じ濃度でも塩の分子が砂糖より小さいため水分の移動が塩の方がより速く始まります。
食材でたとえると、細胞内の溶液が塩を加える事により出てしまうのでその分砂糖が入りにくくなってしまうのです。
浸透圧の基本⇒薄い溶液が濃い溶液に移動するが、濃い溶液は薄い溶液には移動しない
3、香りや風味を損なわせない様にする
酢は煮ると風味が飛んでしまいます(基本味は温度による変化を受けることはありません)
醤油は古くは[せ・う・ゆ]と呼ばれていたところから 【せ】=醤油 とし、調理工程では塩分としてよりは醤油の風味を利用していることから、最後の方に使用します。
同時に2で説明したように「塩分濃度」による浸透圧の影響を考えつ必要もあります。
味噌も同様に風味を楽しむので、特に味噌汁などは最後に溶いてさっと火を加えて仕上げます。
但し、味噌煮込み等味噌を中心にした料理の場合は塩分を充分に考慮し砂糖・味噌・水分で煮詰める調理法を取ります。
料理の【さ・し・す・せ・そ】の3つ理由
1.個々の分子の大きさ
2.浸透圧の関係
3、香りや風味を損なわせない様にする