重曹とは?
炭酸水素ナトリウムを別名 「重曹」 と呼ぶ。
→炭酸水素ナトリウム→重炭酸ナトリウム→重炭酸ソーダ→重曹・・・化学式でNaHCO3で表される。
ナトリウムの炭酸水素塩で、常温で白色の粉末状である。
水(0℃)100gに約7g、水(20℃)100gに約10g溶解する。
加熱により二酸化炭素を発生する性質を持つ。口中の温度(体温)でも炭酸ガスの発生が認められる。
舐めると口の中でシュワシュワと炭酸ガスが発生するソーダ飴などには粉末で封入されている。
料理への利用
どら焼きや黒糖饅頭の膨張剤
基本的な小麦粉との割合は1~1.5%
100gの小麦粉に対して1~2g 重曹は小麦粉のフラボノイド色素に反応し黄色くなり、若干独特な風味と苦味を発生する。
どら焼きの独特な皮の風味は重曹の働きによるところが大きい。また饅頭でも薯用饅頭のように白く仕上げたいものへの使用はふむきであるが、黒糖饅頭のようにコクの強い生地には重曹の苦味が加わることで相乗効果をもたらし旨みを広げる。
黒糖饅頭
重曹は40℃以上になると炭酸ガスが発生し、80℃で40%, 80℃以上(沸騰蒸気)になると活発化する。
通常黒糖饅頭に添加する「膨張剤」重曹は、小麦粉の1~1.5%と非常に少量で、粉に分散させるより液体に分散させる方が均質化するため、黒糖を沸かし液体状にしたところに(完全に冷やす)重曹の倍量の水で溶いたものを加え、粉に混ぜる。
この生地で包餡し蒸気の十分上がった蒸し器で10分一気に蒸し上げる。
炭酸水の素
水に炭酸水素ナトリウムとクエン酸(レモン汁でも可)を混ぜるだけで炭酸ガスが発生し炭酸水となる。
水+重曹+レモン(ライム)+砂糖 ⇒ 檸檬ソーダ
*食事の間に、ショットグラスで自家製檸檬ソーダ水を提供する。などということが簡単にできる。
市販されている炭酸水は空気に触れていくうちに炭酸が抜けてしまうので使い切れる量でないと廃棄するようになりむだがでてしまう。料理人の醍醐味は「根本的理論が理解できていれば、なんでも作り出せる」というところにある。
注)ナトリウムNaはドイツ語由来、英語ではソディウムであることからソーダと呼ばれる
灰汁抜きに有効
重曹は弱アルカリ性のため、山菜などの灰汁(アク)成分がアルカリ性に溶け出す性質を利用してわらび、ぜんまい、ヨモギなどの灰汁抜きに使用する。
1リットルの水に5g(小匙1)程度。沸騰させた中に加え約10分湯がく。特に灰汁の強いものは重曹水で灰汁抜きした後、何度も水を変えて漬けゆすぎが必要。かんで見て苦味、えぐみ、渋味などが抜けていればよい。
発色効果
弱アルカリの性質に野菜の色素成分が反応して、発色する。
- クロロフィル(緑) → より鮮やかに
- フラボノイド(白、黄色) → 黄色気味に
- アントシアニン(赤紫) → ほぼ変化なし
- カロチノイド(橙) → ほぼ変化なし
肉を柔らかくする効果
重曹は食材中のタンパク質を分解する作用を持つので、結果水分をしみこみやすくし柔らかくなる。
*肉の表面に重曹水をヒタヒタ塗り付けビニル袋にいれ一晩寝かせる。あるいは重曹を肉の表面に刷り込ませ半日おく。
*少々固い肉質のものは、この方法で試してみて。筋肉などの煮込み用の肉とかに向いている方法。