砂糖の調理性
酵母【イースト】
酵母とは、出芽又は分裂により繁殖する菌類。
生物界に数千年以上前から存在し、人類に利用されてきた。酵母発見の歴史は古く発酵中のビールを調べている中で発見され、ルイ・パスツールによって酵母の純粋培養を最初に行なわれた。
酵母の作用
清酒酵母、味噌酵母、パン酵母など酵母の働きで多くの加工食品や発酵食品、醸造食品がある。
製パンに使用する酵母
製パンに使用する酵母には、生酵母と乾燥酵母(ドライイースト)がある。
*乾燥酵母の水分は4~9%で、生酵母の約10分の1である。
*生酵母と乾燥酵母では、出来上がったパンの風味が異なる。
*乾燥酵母には死滅した酵母が含まれ、そのアミノ酸や炭水化物が風味に影響して色や香りが良いパンになる。
酵母の働き
酵母は糖を分解してアルコール、有機酸、エステル類を作り、炭酸ガスを発生して生地を膨らませる働きがある。
製パンなどに使用する酵母は、酒酵母やワイン酵母と同じサッカロミセル・セレジシエ属である。
*日本の製パン用標準酵母は、砂糖を多く使う菓子パンに対応するよう、外国のものよりも対糖性が強い。
*一般にインベルターゼ活性が強い (初期発酵が速い)酵母は、対糖性が弱い。
酵母は出芽と言う方法で増殖し、最適条件では約2時間で倍に増える。
添加した酵母の発酵により、生地の伸展性が良くなるとともに風味が向上する。
酵母の発酵にかかわる主な酵素とその作用(分解するものとその分解生成物)
- インベルターゼ : ショ糖 → ぶどう糖 + 果糖
- マルターゼ : 麦芽糖 → ぶどう糖
- チマーゼ : 糖 類 → アルコール + 炭酸ガス
乳酸菌(酵母と共に生息している)の発酵により有機酸を生成する。
酵母が活動する最適温度は35~38℃で、PH(水素イオン指数)は4~6の弱酸性である。
*10℃以下では活動が低下し、55℃以上では死滅する。
★冷凍しても酵母菌は死滅しない。
発酵生成物とそのパン生地への影響
- アルコール : 最終発酵でエチルアルコースが約2%発生し、生地をやわらかくし、酵母の働きを抑える。
- 炭酸ガス : グルテンに作用して生地の粘弾性(粘りや弾力)
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